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暗部学園 SSS


ナルトと九尾(ナルトの双子の弟)の話。
兄:長門、弥彦/姉:小南
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俺の名前は九尾という。
珍しいしぶっちゃけ変だし、誰も一発で読めた例がない。
そんな俺の名前を”カッコイイ”なんていう馬鹿が、俺の双子の兄だった。
「たっだいまー! 腹減った!!」
「おかえりなさい。ナルト、クオ。おやつあるから手を洗って来なさい」
ナルトの元気の良すぎる声に笑いながらキッチンから顔を出してきたのが、姉の小南。
留守がちな両親に代わり俺たちを育ててくれた。
うちは子沢山なのか、やたらと兄弟が多い。
いま一緒に住んでいるのは、父親代わりの兄、長門と弥彦、母代わりの小南の三人だが、学園の生徒会長も兄だし、その他にも会ったことのない兄弟がいろいろいるらしい。
どこまで血が繋がっているのが、俺たちにも分からない。
ともかく親父が「兄弟を連れて来たぞ!」というと、そいつも兄弟という訳だ。
俺にはどうでもいいことだが。
だいたい、あいつが親父ってこと自体、気に入らないし。
「クオ? 顔色が悪いわ。なにかあったの?」
「別に」
おやつに齧りつく為キッチンへ向かったナルトと離れ、俺は2階の自室に向かった。
ドアを閉め、一人になると少し落ち着く。
なにもかも苛立つ。親とか兄弟とか家族とか。そんなもの、俺にはなかったはずだ。
…と、思うのだがよく分からない。
生まれた時のことは覚えている。隣にナルトがいた。ナルトがしっかり俺の手を握っていた。
それで安心して、俺はこの世界で息を吸ったんだ。
その前のことも覚えている。多分母親の…腹の中。側にナルトがいて、俺たちは繋がっていた。それでほっとした。
俺はきっとまた、ナルトと一緒になって生まれていく。俺たちは一緒だ。
ところが、どうだ。蓋をあけてみれば、双子といっても俺たちは別の体で、手を繋ぐことはできても一緒になることは出来ない。すごい詐欺だと思った。
ありえない。
ナルトはわかってない。食い物なんかにつられて、簡単に俺から離れて行く。
こうして一人でいるだけで、息をするだけで俺の体は冷えていくのに。なにか訳の分からないものが降りてきて俺を冷たくしていくのに。
「九尾ぉ!」
バタンと扉が開いた。
「お前、勝手に行くなよ。ほら、おやつ。ねーちゃんのマフィン、さいっこーに美味いぜ」
片手にマフィンの乗った皿を持ち、口にコップを銜えたまま、ナルトはにゃははと笑った。扉を開けたのは足。もう片方の手には、俺のコップが握られている。
ナルトは器用に足で扉を閉め、マフィンとコップをテーブルに置き、窮屈な制服の上着を脱いでベッドに放り出した。
「なんだよ、食べないのかよ」
ナルトをぼーっと見ていた。改めておやつにありつこうと、振り向いたナルトは不思議そうな顔をした。
すぐ近くにいる俺の片割れ。今にもおやつに齧りつきそうなナルトを無理矢理捕まえて抱きしめた。
「九尾ぉ、力強いって」
「うるせぇ。黙ってろ」
ぎゅぅぅ、と抱きしめる。触れ合った体から温かいものが流れ込み、冷たくなった俺の体が少しずつ温かくなっていく。
こいつは俺のものだ! 俺の、俺だけのものだ!!
「俺から離れたお前が悪いんだっ」
「だってねーちゃんのおやつ、美味そうだったし」
「うるせぇ!知るか!!」
「九尾だって、食べたいだろ?」
食べたいのはそんなものじゃない。けど、これを食べたら俺は冷たくなる。冷たくなっていつかどうにかなっちまう。
マフィンに未練たらたらなナルトを強く抱きしめ、色んなものを、閉じ込めた。
「もうちょっと、待ってろ」
「しょうがねぇなぁ、九尾は甘えたで」
ナルトが俺の背中を撫でる。たったそれだけのことが、俺の世界で一番の幸せだった。


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もっと軽い感じになると思ったのに!
次は、ナルトらぶな九尾と、vsサスケとか書きたいなw



■拍手ありがとうございました!
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