サスケとナルト+九尾。
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動くと沈んで行く。
そんな当たり前のことに、中学で騒がしい幼馴染と初めてクラスが分かれるまでサスケは気づかなかった。
家は向かい側。お互いの両親が友人だった為、ほぼ生まれた時から付き合いがある幼馴染が、サスケは苦手だった。
第一に、致命的な馬鹿。
ガキの頃、家を空けることの多い両親への不満から拗ねて遠くまで歩いて行った。
呼びもしないのにあいつは勝手について来て、挙げ句夜の暗闇で土手沿いの階段から足を踏み外したサスケの代わりに怪我をした。
怪我をしたくせに、笑っていやがった。「帰ろうぜ」と。
馬鹿馬鹿しくなって家に戻った。平気な顔をしていたから、怪我は嘘。騙されたんだと思っていた。
次の日、あいつの足首は倍ぐらい腫れあがっていて、しばらく歩けない怪我だと言われた。
痛かったくせに、帰り道、笑って着いてきた。あいつを見たくなくて早足で前を歩いていたサスケは、時々痛そうに足を引きずっていたのだろう幼馴染にまったく気づかなかった。
酷い自己嫌悪と後ろめたさから見舞いにも行かず無視をしていたのに、歩けるようになった途端、あいつは平気で家へ遊びに来た。
多分、小学校高学年の頃。
親が嫌いな訳でもない。小さな不満はあっても家出したいわけじゃない。
それでも何かに呼ばれるように、サスケはここから逃げ出したくなることがあった。
その度に遠くへ行こうとし、幼馴染に引き止められる。
一生、こんなもんなのかもな。
そう思い始めた矢先、クラスが分かれた。
ガキだから、隣のクラスまで顔を出すことなんかなくて、それぞれに新しい仲間が出来た。
その分あいつとの距離は開いて、一日中、時にはあいつが泊まりに来るから夜まで一緒だったのが、夜だけ会うように変わった。
あいつは変わらなかったのに、もう遠くに行ってもあいつは気づかないかも知れないと思うだけで、怖くて遠くへ行くことが出来なくなった。
「サスケっ!」
その代わり、登下校をずらした。ガキじゃあるまいし、一緒に行くことはないだろ、というのは建前で、あいつが見つけてくれるのを確認せずにはいられなかった。
門を出て歩いていると、後ろから幼馴染の大声が聞こえる。
「無視すんなってばよっ!」
走りこんでタックル気味に抱きついてくる幼馴染にほっとしてため息を吐き、
「てめーが遅いんだろ」
決まり文句を吐いてナルトの後ろから親の敵でも見るような目で歩いてくるもう一人の幼馴染、ナルトの双子の弟をにらみつけた。
九尾。
双子だからってだけで、ナルトを独占している、嫌なヤツ。
「遅くねーよ。今日はねえちゃん、早出だから、いつもより早いくらいだってばよ」
「俺は週番なんだ」
「知ってる。だからこの時間なんだろ?」
知らないわけあると思ってたのか、と、得意気に「にしし」と笑うナルトの顔を、無造作に引き離す。
「いい加減、離れろ」
「ちぇっ。相変らずノリ悪いよな」
「ガキに付き合ってられるか。ドアホ」
九尾は睨みつけてくるだけで、一言も話さない。元々口数の少ないヤツでナルトが手を引かないと遊びにも加わらないようなヤツだったが、最近、前にもましてピリピリしている。
その理由が、サスケには分かるような気がした。
物怖じしないナルトは前から友達が多かったが、中学に慣れてどんどん交友関係が広がっていく。
それを思うと胸にある暗い海が波立った。
いつまで、こいつは俺の後をついてくるんだ?
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びみょう。いまいち。ざっくり削除するかも。
サスケは難しいです!
あと。カカイル以外のカプを考えたことがないから、サスケとナルトの関係がよく分からないのかも~。
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