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カカイルSS:チョコを作ってみた

季節ものです。
私的に珍しい(笑)

サクラとカカイルみたいな感じの話です。

イルカ下忍時代の話をアップしようと思っていたのですが、こっちが出来たので季節モノを優先しました(苦笑)
イルカ下忍時代の話は、バレンタイン終った月~水曜ぐらいにアップしようと思っています。

いま、更新ラッシュですが、勢いが止まったら当分更新ないと思うので、生温かく見て下さると嬉しいです(汗)


拍手ありがとうございます!
 







「はい。カカシ先生」
可愛くラッピングされた包装紙の箱を、サクラが上機嫌で差し出した。心なしかなんてものじゃなく、明らかに雰囲気がウキウキとしている。
「どうも」
俺がもらっちゃっていいのかね、という微妙な顔をしながら、カカシは可愛く美人に成長したサクラからその箱を受け取った。
今日はそこら中から女性達のうきうきオーラが漂ってくるのでバレンタインというのは言われなくても分かったが、サクラが渡したい相手はこの里には居ないんじゃなかったかな。女はわからん。
カカシはチョコを受け取りながら結構失礼なことを考えていた。
「カカシ先生にはお世話になってるもの。感謝の気持ちです」
ああ、義理チョコね。
「ちょっと頼りないけど。今度入院する時は、私が診てあげるから、覚悟してて下さいね! それからこっちは、あんたによ、ナルト」
「マジで!? サクラちゃん!!」
「あんたも頑張ったからね」
カカシに渡されたチョコを指を銜えて羨ましそうに見ていたナルトが、喜びのあまり飛び上がった。チョコを抱えてどたどた変な踊りを踊っている。
相変らず、変なやつ~、と笑いながら、そんなナルトをサクラは嬉しそうに見ていた。
あ、なるほどね。これはダシってことか。
受け取ったチョコを軽く振り、悪いね、と言うカカシに、お返し期待してますから! とサクラは結構マジな顔で言った。目の色が違う。
そっちが本命だったか。
えびで鯛を釣る。女は怖い。
え~! 俺も~!? と叫ぶナルトに、当たり前でしょ! とサクラは釘を刺した。
そんなことを言いながらも楽しそうだ。
ここ三年のサクラの頑張りを見てきたカカシには、そんな二人が微笑ましく見える。
時代が違うというか、世代が違うというか、ナルトたちの世代はどんな悲劇に見舞われても、逞しくしなやかに成長していく。
彼らを見ていると、妙に嬉しい気分になり、もしかしていま幸せなのかもな、俺、とカカシは思った。




「てことがあったんですよ」
夜、イルカの家に押しかけ夕飯をご馳走になった後、チョコを見せると、晩酌の用意をしていたイルカが笑った。
知っていたらしい。
「誰にあげようか、火影様と相談していましたよ」
実際には、手作りチョコの材料を買ったサクラに、誰にあげるんだ? と綱手がつっこみ、シズネと三人遠慮のないバレンタインークを繰り広げていた。
「女ってのは、強いですねぇ」
イルカの用意した酒を遠慮なく飲むカカシに、イルカはちょっと考えるようなそぶりを見せる。
「誰にも渡さないチョコも、一つ作っていたみたいですよ」
渡さない、じゃない。渡せない、だ。
「女ってのは、ほんと分かりません」
「カカシさんは、ダメですねぇ」
辟易とした様子のカカシを、イルカは笑い飛ばした。
「余裕ですね」
「義理チョコは貰いなれてますから」
それはそれでどうだろう。
「アカデミー教師は人気者ですね」
「嬉しいもんですよ。卒業して一人前になった子たちが、そのために訪ねてきてくれるっていうのは」
「ふーん」
ナルト達三人しか教えた事のないカカシには解らない心境だ。
だがイルカが嬉しそうなので、『嬉しいもん』なんだろうな、と思った。
サクラからチョコを貰った時の感じに似ているのかもしれない。
子ども達から、幸いを、分けられた、感じ。
あれは大切にしたいし、護りたい。
「ははは」
「どうしたんですか? 急に」
「いや、俺、大切なもんは全部なくしたと思ってたんですが、まだあったみたいです」
目を瞬かせてイルカはカカシを見て、それはよかったですね、と笑った。
笑ってカカシに口づけた。
あ、とカカシは思った。
「俺、鈍いですかね」
「少し、そういうところもありますね」
バツが悪そうに目を泳がせた後、カカシは手にした杯をちゃぶ台の上に置いた。
「もっとちゃんと確かめてもいいですか」
真顔でカカシが言うので、イルカは吹き出し、ご自由に、とカカシを抱きしめた。
「今日のアンタはちょっとズルイね」
「カカシさんが珍しいんですよ」
気恥ずかしくて照れるカカシの背中を撫で、優しく引き寄せていくイルカは、やっぱりズルイな、とカカシは思った。
思って、いま自分が子どものように素直に幸せなことに気づいた。
イルカは子どもの扱いが上手い。
「遠慮しないよ」
「あんた、したことありますか」
真面目にキスを落としたのに、イルカに笑われ、カカシは貪るような深いキスをした。
イルカの息が上がり、目元から赤く染まっていく。
顔をよく見たくて少し離れようとすると、イルカが強く抱き寄せ深い口づけを返してきた。
イルカを味わい、カカシの理性が消えていく。
二人は縺れるように絡まりあい、互いの服を脱がせ合った。




翌朝、サクラに貰ったイルカのチョコがカカシのものより豪華だったのを見て、カカシは子どものように拗ねた。

でもカカシとナルトと渡されないチョコが一番美味しいことをカカシは知らない。
サクラがその三つに一番手をかけ、大切に作ったことも。



おわり
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