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イル誕SS

イルカ誕生日おめでとう! ちょっと遅刻してごめん…。
なカカイルSSです。

■拍手ありがとうございました!


 




『イル誕SS』(by hana)



「なんだ、変な顔して」
「あ、どうも。おはようございます」
空を見上げると曇天ながら陽がかなり高い。おはようの時間じゃないだろう、と思ったがアスマは肩を竦めるだけでまだ雛の殻の抜けていない後輩のボケを流した。
「気の抜けた顔してんな」
「そうですねー。はは、実際そうなのかも」
イルカが困ったように笑う。どうも話す気はなさそうなので、訓練所の草っぱらの隣に座った。放っておいてもよかったが、今日ぐらいはいいだろう。
「あのですね、」
案の定、イルカが話し始めた。ぼんやりとしていても、こういうところは律儀だ。
「憧れてるかもしれない人に、会っちゃったんですよ」
「良かったじゃないか」
「でもちょっと目が合っただけなんです」
「ふうん」
「そしたらこう、なんかもやもやしてしまって。…変ですね」
「変だな。ま、いいんじゃねぇか。よくあることだ」
思った以上に下らないことだった。慰めようもない。アスマはぽんぽんと歳の離れた父親のお気に入りの頭を叩き、立ち上がった。
「親爺のヤツが家に来いとさ。誕生日なんだろ」
「え…?  あ、あ、す、すみません!!」
慌てて立ち上がり走り出す、まだまだ華奢な子どもの後姿を見送って、友人とも知人とも言いかねる腐れ縁の相手の情けなさを思って頭をかいた。
「目が合っただけ、ねぇ」
わざわざ会いに行ったんだろうに、アホな奴。



「あ」
転寝をしていた。懐かしい昔を見ていた気がする。
あれから色々なことがあり、イルカの周りは人が増えてまた減った。
時計を見ると、ちょうど針が日付を越えたところ。
また一つ歳をとる、特別だった日が終った。
昔は色々こそばゆい日だったが、この歳になるといい加減感慨も湧かないが。
「そろそろ寝るか」
風呂の後、机で転寝していたため凝り固まった体をほぐしながら灯りに手を伸ばす。
ふと机の上の、手をつけられていない料理が目に入ったが、ま、大丈夫だろうと灯りを消し床に入った。
今年も、約束した相手は現れなかったがいつものことだ。
あの人が遅刻しなかったことなど、知り合ってからこの方一度もない。
どうせ日付を間違えたとかなんとか下手な言い訳をするのだろう。
この忙しない戦時下では、本当に忘れられていても怒りはしないが、そういうことではないだろうし。
ならば焦ったように日付の合間に滑り込んで来る彼を見るより、適当な言い訳をするアホ面を見る方がマシだ。
血塗れのままやって来てそのまま病院に運ぶなんてことになるよりはよっぽど。
あの年は強烈だった。
二度と来んな、このアホと怒鳴りつけながら病院に運び、泣くのを必死で堪えた。
ちょっと恥かしい思い出だ。
「まぁ平気だろうけど、どっかで頑張ってるカカシさん、おやすみなさい」



「え、ちょっと待って下さい!」
いままさに訪ねようとしていた家の明かりが目の前で消えたのを見て、カカシは慌てて扉に手をかけた。
あたり前だが鍵がしまっている。
そしてカカシの優秀な耳にはイルカからの「おやすみなさい」。
優秀な鼻には、冷めても美味しそうな料理の匂いが漂ってくる。
朝から殆どなにも食べていない身には、これはツライ。
しかも…。カカシは気配を隠してなんかいなかった。曲りなりにも忍のイルカにここに居たのが分からないはずがない。
「開けてくださいよぉ」
それでも後ろめたさから、扉に額を押しつけ小さな声で呟くと、くすくすと笑うイルカの忍び笑いが優秀な耳に届いた。
しばらく笑い声は続き、ささやかな物音とともに扉が開かれる。
「言い訳は、いいです」
「怪我なんかしてませんよ」
「みたいですね」
上がり口で寝間着のまま腕を組んでいたイルカに冷たく見下され、カカシは小さくなった。
「無理するぐらいなら、来ないで下さいって。俺、言いましたよね」
「お腹、すいてるんですよね」
ダメですか? と窺うようにイルカを見ると、彼は考えるように視線を泳がせた。
その隙をついて、湯冷めした体を抱締める。
「誕生日おめでとう」
遅くなってすみません。と耳元で小さく呟く。
しょうがない人だな、と呆れたような呟きが返され、組まれていた腕が背中に回された。
「ありがとうございます」


おかえりなさい。


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温くてすみません。。。
風邪をひいてました…。リアルに。こんな季節に(涙)
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